14 「大正区渡船巡り-2」 ここは西成区の北津守で、10分もあるけば南海高野線の「木津川駅」や「津守駅」に出られる。が、今回はこの工場と倉庫ばかりの埃まみれの道を南に向かう。訪れたのが年度末の3月ということも関係するのかもしれないが、この日は休日なのに工場にしても倉庫や砂利の集積場にしても稼動している会社が多い。時間に追われているのか、猛スピードで疾駆する大型トラックも多い。必ず歩道を歩きましょう。 10分足らずで「落合下渡船場」の案内板を発見。スロープを登って川上を見るとさっき渡った「落合上」の渡船場が見えている。川下を見ると次の「千本松渡船場」の上にかかる「千本松大橋」も見える。小さな男の子を連れた親子連れと、母と娘なのだろう女性二人と乗り合わせ、こちらも船がS字を描いて対岸に渡る。初めて船に乗って喜ぶ子供の声がエンジン音の中に聞こえる。桟橋のスロープを登りきると目の前に現れる威圧感さえ感じるほどの金属スクラップの大きな山。山の淵をたどるようにスロープを下り道路に出る。 川に沿って南へ南へ。途中に賑やかしい外装のパチンコ屋があるものの、こちらも大きな工場と倉庫だらけなところ。日本製粉大阪工場を過ぎ、公園を過ぎたところで小林公園からの道と合流し、そのまま大林道路と大阪製鐵の間を歩く。「落合下渡船場」から15分で「千本松大橋」の螺旋スロープの橋脚のすぐ下の「千本松渡船場」の案内板発見。 渡船は本来橋が掛けられない場所にあるものだろうが、この渡船場の上には立派な橋がかかっている。ここだけではなくて、木津川、千歳の渡船場の上にも立派な橋がある。橋を架ける際には渡船は廃止される予定だったが、住民の要請で存続されることになたらしい。橋が架かり確かにいつでも渡ることが出来るようになったものの、いずれの橋も河川を行きかう船舶に大型のものが少なくないためにやたらと高さのある大きな橋なので、車ならいざ知らず、歩いてとか自転車で渡るのには一般の人でもちょっと辛い。ましてや老人や子供を自転車に乗せてといった人には橋を渡るだけでも一大事なので渡船の存続を望むのも当然のことか。 ここ千本松に架かる橋は通称めがね橋といわれ、上から見ると河を渡る部分がまっすぐで上り下りが螺旋状になっている。自動車で上り下りするとどの方向に走っているのかわからなくなる。螺旋状のスロープの手前に案内板があり、それに従って堤防に向かう。 螺旋状のスロープの内側が広場というか野球のグランドになっていて、この日は少年野球をする大勢の子供たちがいた。渡船場に出るとこれまでの二箇所とは川の幅が倍以上広い。岸壁間230メートル。また大正区側の渡船場が橋の北側なのに、対岸の渡船場は橋の南側でその分渡る距離も長い。渡船場のつくりも大きい。少年野球を見に来ていた今までの2箇所の渡しは乗ったらすぐに対岸に着いたが、ここはさすがに川中の波の揺れも感じられ、船に乗っているなという実感がある。 対岸に渡ってからは頭上の「千本松大橋」を渡って大正区に戻ることにする。渡船場から広い道に出て、信号を渡って螺旋スロープの歩道を登り始める。車に乗ってこの橋を渡るときは何周もしているように思うが、実は2周しかしてない。それでも直径100メートルほどのスロープを高さ35メートル以上(最高部で水面36メートルとのこと)まで上がっていく。徐々に視界が広がり、西成区南津守の工場街から大阪湾、大正区の中山製鋼所などが順次見えてくる。螺旋上の部分を終え川を渡る直線部分に出ると最高の見晴らしが拡がった。 川を渡り今度は螺旋スロープを下る。螺旋の中に出来たグランドが見え、横をひっきりなしに通る車の音の中に少年たちの歓声やコーチの叱咤する声などが響いている。スロープを下りきりさっき歩いてきた道との交差点の信号に出る。橋を渡るのにおよそ15分かかっていた。
14 「大正区渡船巡り-4」 渡った先が同じ大正区の鶴町1丁目。ここから北奥の鶴町4丁目に向かう。渡船場から正面の赤茶の大きなマンションに向かい、大きな道路に出て左に曲がる。少し近道を取ることも出来るが、そのままバス道を歩く。「船町渡船場」から20分弱でバスの終点地「鶴町4丁目」に到着。 地理的に言えば先の船町が大正区の一番奥なのだが、地下鉄とJRの2本の鉄道が乗り入れてるとはいえ、大正区の一番北側までしかないため、公共交通機関といえばバスが主流の大正区で大正駅から「J」の字にしかこれないバスの路線から考えればこの鶴町4丁目が大正区の一番遠い地域とも言える。しかしここは市営や公団の住宅が立ち並ぶ大住居地で、バス路線は大正駅方面に向かうものでは大阪駅行きやなんば、大阪ドーム行きなどがあり、その他にも弁天町や住之江公園などいろんなところへバスで直接いけるところ。通勤時間帯には次から次へとバスが発車していく。 今は港区の天保山方面を結ぶ有料道路の「なみはや大橋」がかかっているので、阪神高速湾岸線すぐに出られるし、そこから海底トンネルで南港も出れる。また、このなみはや大橋ののり口のすぐそばに世界最大級の家具チェーン店「IKEA」が2008年夏にオープン予定。この地区の名所になるかもしれない。 それと、これから向かう大正内港の「千歳渡船場」の上には「千歳橋」という大きな橋が架けられ、同じ大正区内でも近くて遠かった対岸と結ばれて、車を使って大正区の中心街に向かうのには便利になっている。 「鶴町4丁目」の交差点を右に曲がって後は青い「千歳橋」を目標に歩く。公団の並びを過ぎ「千歳橋」の歩行者用の階段が見え、その奥に「千歳渡船場」の看板が見える。 渡船場に行く前に千歳橋に上ってみる。千島団地横の「昭和山」、弁天町の「オーク200」、海遊館横の観覧車などがきれいに見える。 時間を考えるとこのまま大正区最後の「甚兵衛渡船場」に明るいうちに行くことも出来るが、きっと今日はいい夕日が見れるような気がして、「甚兵衛渡船場」には向かわず、この一番距離が長い渡船の上で夕日を見ることにした。少し時間をつぶして渡船場に向かう。 この大正内港は尻無川の河口に当たるが、京セラドーム(大阪ドーム)の横を流れている小さな川なのに、ここまで来るとその川とは全く別物。ここは大型船舶が出入りするべく造られているのでさすがに広い。大型の貨物船が着岸する突堤がいくつもある。内海ではなく内港となっているのは港の先がどんどん埋め立てられていったからなのだろうか? 渡船はこの内港の入り口の対岸を結ぶ。大型の貨物船がすれ違うことを考えれば当然なのだろうが、対岸までは371メートルもあり、川というよりは海の様相。船に乗り込み太陽を探すと期待通りに「なみはや大橋」とその向こうの湾岸線の「みなと大橋」の間にきれいに輝いていた。 対岸に着き千歳橋の下から歩くこと15分以上かかってやっと大正区のメインの大通りに出た時には夜の帳が下りかけていた。 今回は歩いての散策だったが、今度は是非とも自転車で回ってみたいと思う。